シャイヤファーム(オーラソーマの農地)
先月も少し紹介させていただいたオーラソーマの農地、シャイアファームについて、今月はさらに詳しくご紹介したいと思います。オーラソーマ(R)は2006年にイギリスのリンカーン州にあるテットフォードから6マイル程の距離にあるハグワージンガムという村に438エーカーに及ぶ広大で肥沃な土地を購入しました。私は2度訪れていますが、写真にあるように本当に美しいところです。農地に森があることで、となりの農場から農薬が飛んできません。そこでこの土地を従来の農法からバイオダイナミック農法に切り替えるために土づくりなどに3年以上をかけたそうです。土の中に空気や自然の堆肥を入れて何度も混ぜることを繰り返しました。
ここで、ご存じの方もいるかと思いますが、バイオダイナミック農法について簡単にご紹介したいと思います。サイト「OZ GARDEN」を参照させていただきました。バイオダイナミックという言葉はワイン通の方や自然派コスメに関心のある方なら一度は耳にされたことがあるかと思います。自然の営みや生態系を無視した農業の近代化に疑問を持った学者ルドルフ・シュタイナー(1861-1925)が1924年にバイオダイナミック農法に関する講義を行って学術的に注目を浴びて以来、この神秘的ともいえる農法はヨーロッパにおける権威あるオーガニック農法として定着しているようです。人智学に親しむドイツの農民達が農業の近代化によって起こったいろいろな問題についてシュタイナーに助けを求めました。これに応じる形でシュタイナーは、自然のリズムとの調和を重んじて健康な土壌作りと植物の組成力増進の達成を図る持続可能な農業に関する8つの講義を授けました。
バイオダイナミック農法では、太陽、月、惑星と地球の位置関係が土壌や生命体の成分及び気象等に与える影響を重視して、種まき、苗植え、耕運、調合剤の準備や施肥、収穫などの時期を天体の動きにあわせて選択します。また、土壌バランスや植物を健康に保ちつつ効果的な収穫をあげるためのサプリメント或いはコンディショナーとして、人為的な化学物質はいっさい使用しないかわりに、天然のハーブや鉱物、家畜を利用して作った各種調合剤を施します。この農法は世界各地のバイオダイナミック・リサーチセンターで長年にわたって実験が繰り返され、高い効果が報告されています。昔の農民達の間で迷信のごとく伝わってきた星の運行による農事暦の知恵が、シュタイナーと彼以降の研究者により体系立てられて甦り、一定の評価を得るに至りました。
私は2001年に日本の熊本県、そして2002年にニュージーランドで実際にバイオダイナミック農法を実践されているところに見学に行かせていただいた経験があります。そこでいくつか驚いたことがありました。熊本県で一番驚いたこと、それは牛さんが全然臭くなかったこと!普通、農家で飼われている牛さんって臭いと思うのですが、そこで飼われている牛さんは全然臭くなかったんです、牛さんがいたすぐ横でお昼ご飯を頂いたのですが、全然不快ではなかったのにはびっくりしました。そしてもちろん、頂いたお野菜やご飯もすごくおいしかったのを記憶しています。ニュージーランドでは、実際に肥料を農地にまくお手伝いをさせて頂きました。その肥料というのがユニークなんです。牛さんの糞を角に詰めて一冬の間土の中に埋めておいたものを、水で希釈していきます。その時に棒を使って混ぜて行くのですが、その混ぜ方がまたおもしろい!右回りにある程度混ぜたら、急に左回りに変えます。そこでカオス(混沌)を作りだすのです。陰と陽。そこに宇宙の波動を入れていくとおっしゃっていました。牛は聖なる動物として、古代から崇められてきました。牛の糞にはたくさんの大地のエネルギーが満ちています。そして牛の角は宇宙のエネルギーを受信していると言われています。またその形が三日月の形に似ていることからも牛の角には特別な力が宿っていると言われてきました。糞を角の中に入れることで、大地と宇宙のエネルギーが一つになります。その希釈してできた天然の肥料は、バケツに入れて「ありがとう」と声をかけながら大地にまいていきます。この作業がとっても楽しく、本当に幸せを感じた体験でした。
これと同じことがオーラソーマの農地でも行われています。今32頭の牛さんがシャイアファームにいて土作りに一役買ってくれています。牛さんは食べるためでも、牛乳をとるためでもなく、ただ草を食べて糞をしてもらうためにいるのです。草を食べて糞をしてもらうことが大地を豊かにするのです。そして、蜂の巣箱も9か所置かれています。ミツバチは受粉を手伝ってくれるだけではなく、私たちにおいしいはちみつを提供してくれます。去年の6月に訪れた際に、そのおすそ分けを頂きましたが、とってもおいしくてエネルギーに満ちていました。牛は牛として存在することで、ミツバチはミツバチとしてやるべきことをやることで、この地球を豊かにそして調和あるものにしてくれています。では、わたしたち人間はどうなのでしょう?私自身は?
ここで、マイク氏が「ハグワージンガム農地に於ける神秘の寺院」という小冊子のまえがきに書かれていた文章をご紹介したいと思います。
私たちは、未だ困難で暗い時代に直面しています。けれども、私たちが地球上に存在する機会にいる感覚に目覚めるという意味での、目覚めのプロセスが広がるにつれて、まるであちこちの家の中で電灯がともされるように、光のともし火が現れ始めています。ひも解かれているプランに関連して、存在全体の中で、私たちが何らかの形で運命を全うすることができる機会、その試みが明らかになりつつあります。
暗闇の中に現れるこれらの光は、大きな全体像に関連した役割に気づき始めている個人個人のことです。例えば、自然界にその例を見ることができます。ミツバチは蜜蝋をある場所に運びます。それはいつも完璧な六角形を成し、いずれは大きな巣になります。ミツバチの群れ全体の運命が特定の目標や目的を持ち、巣の一つ一つが大切に扱われます。
人間であるということは、私たちが私たちの小さな蜜蝋をどこに置く必要があるかという感覚を持つことでもあります。私たちが自己からずれている時、緊張や条件づけられたパターンを手放すことができれば、私たちは地球に関わる自分の運命と転生した使命を全うすることができます。これは、私たちが少しばかりの自分の蜜蝋をどこに置くかを知っているということです。これによって、大きな目的、高次の意思が広がります。 |